労働基準監督官の異動 その1
※30年採用以前の話です。
監督官には2局7年という異動ルールがあった。監督官は都道府県ごとにある労働局(監督署やハローワークの上部組織)という厚労省の出先機関に所属するわけだが、採用後は特定の都道府県の局で3年、次に別の都道府県の局で4年、合計7年お勤めすると、自分が希望する都道府県に「定着」でき、定年まで原則としてその都道府県内でのみ異動というルールだ。
国家公務員は総合職、いわゆるキャリア組と本省採用ノンキャリアを除いてほとんどがブロック採用、つまり特定の地域のみの異動であるのに対し、監督官は全国転勤が課せられていた。
ところが、平成31年採用(54期)から、異動ルールが一新される。
なんと監督官が都道府県ごとの採用となる。
従来は、早くとも採用8年目に定着局が決まっていたのに対し、新制度は初めから定着局が決まっているということになる。そして、県外異動も3年目から2年間、13年目から2年間と大幅に短縮される。
監督官の全国転勤は明らかに受験生を遠ざけていたから「良く改善した」と言いたいが、7年も全国に飛ばされた(これから飛ばされる)53期までの監督官が不遇と感じる。ただ、7年間なんだかんだ楽しかったと言う監督官は多い。
特に気になるのは、定着局のこと。旧制度の7年目以下の監督官は定着局が決まっていない。冒頭で7年経てば希望する都道府県に定着すると書いたが、あくまで定員に空きがあるときだけ。人気がある局は8年目になっても入れず近隣の局で順番待ちをするることになる。希望したところに入れず、何年も定員に空きが出るのを待っている監督官もいる。
それに対して来年から採用される監督官は採用時に定着局が決まる。となると、来年以降は新人とも枠を奪い合うということになる。
人気局はますます狭き門となるだろう。
さて、2局7年その後定着というルール、8年目以降の異動も含めてもうちょっと詳しく話したい。また、例外的な異動ルートもあるのだが、それも別の記事で。