ろーきしょ!

労働基準監督官について酒を飲みながらアレコレ書くブログ

許認可 最低賃金減額特例 その5

今回は断続的労働に従事する労働者について。

そもそも断続的労働とは何か。厚労省のパンフレットには

「常態として作業が間欠的に行われるもので、作業時間が長く継続することなく中断し、しばらくして再び同じような態様の作業が行われ、また中断する、というように繰り返されるもののことで、実作業時間と手待ち時間とが繰り返されて一体として成り立っている労働形態」

と記載されている。1時間仕事をして1時間手待ち、その後30分仕事をして1時間手待ち、というような仕事をしている人が該当する。

手待ち時間とは、「待機時間」と考えればわかりやすいと思う。特に何か仕事をしなければならないわけはないが、来客や電話を待っているような時間を主に指す。他にもいろいろなパターンはあるが。

休憩時間との違いについては、労働基準法の休憩時間とは使用者の指揮命令下になく労働から完全に解放された時間のことをいう。そのため事務所で待機して仕事を待っているような状態は、例え自由にして良い場合でも、「待機」という命令が及んでいるため休憩時間ではないという判断がなされることが多い。この辺りはじゃあ〇〇の場合はどうなんだ、と書き出すとキリがないため、ここでは細かく言及しない。

 

断続的労働に従事する労働者については、最低賃金減額特例の他に労働基準法第41条を根拠とする監督署長の許可を得れば、労働時間等の規定の適用を除外することができる。つまり、一日8時間を超えて働かせても割増賃金を支払う必要がなくなる。

 

断続的労働は最低賃金減額特例により最低賃金未満の時給で働かせた上で、更に割増賃金の支払い等をも除外することができるのだ。41条許可については別記事を用意する。

 

断続的労働は寮の管理人、役員の専属運転手などが許可に値する可能性のある仕事として挙げられるが、現在は宿直専門員の申請がほとんどを占めているのではないかと思う。特に最近は社会福祉施設からの申請が多い。

 

労働基準法でいう宿直とは、「ほとんど労働する必要がなく、緊急時のために待機しているような勤務」を指すわけだが、この宿直についても監督署長の許可によって労働時間から除外してもよい規定がある。しかしながら、「宿直勤務は労働者一人あたり週に一回のみ」という許可基準がある。

 

断続的労働と宿直は許可基準も違うし別々の労働態様ではあるが、宿直の許可基準の方が厳しいため、断続的労働の最低賃金減額特例&41条許可を取り、宿直専門員を配置すれば支払うべき賃金がグッと低くなる。

 

断続的労働従事者に対する最低賃金減額特例の減額できる限度は40%。仮に最低賃金が1000円とすると最大で600円で働かせることができる。定められた計算式により決まるため、実際は25~35%あたりの許可が多いのではないかと思う。更に上で書いた通り、41条許可を得れば、15時間の宿直であっても割増賃金の支払いが不要になる。ただし深夜割増は必要。

 

申請がなされると現地調査を行い、申請どおりの労働態様か確認する。また、対象者にもヒアリングを行う。許可までの流れは障害者に対する申請と同じ。

監督官一人当たり年間数件程度行う署が多いかな。