ろーきしょ!

労働基準監督官について酒を飲みながらアレコレ書くブログ

許認可 最低賃金減額特例 その4

 今回は最低賃金減額特例申請の一つである「障害者の労働」について書きたいと思う。

 最低賃金は年齢、経験その他モロモロに関係なく一律に適用されるわけであるが「障害者で、その障害により著しく労働能力が低い場合」には、許可を得れば最低賃金未満で働かせることが合法となる。

 理屈としては、そのまま最低賃金を適用してしまえば、かえって障害者の雇用機会が失われてしまうためこのような制度を設けていると厚生労働省は説明している。障害者によっては極めて単純な作業しかできない者もいるため、最低賃金未満でもまぁOKとしましょう、ということである。

 障害者の親に制度について意見を聞くこともあるが、一日中家にいるよりも外で社会に加わっている方が本人にとっても親にとってもありがたい、ということで最低賃金未満でも構わないと答える人もいる(極端だが日中面倒見てくれるので無給でも良い、という親も少なからずいる)。

 

 この制度(この理屈)、個人的には大っ嫌いなのだがそれは今回は置いておく。

 

 申請後に担当官が事業場に行き対象となる労働者と「その事業場で最も能力が低い労働者」の仕事量を比較して許可に値するか判断をする。何をもって能力が低いとするのか曖昧であるが、最も賃金が低い労働者を選択するよう指導することが多い。

 申請する際は「何の仕事をさせるのか」「何%減額してほしいのか」これらは必須である。

 仕事内容が「洗濯されたおしぼりを半分に折りたたむ作業」の場合、〇分間に何分折りたためるか比較することになる。或いは〇枚折りたたむのに要した時間を比較することもある。調査方法は基本的に担当官の裁量で決まる。

 申請減額率が50%、つまり最低賃金が時給800円だとして時給400円で働かせたいという場合、減額対象となる労働者の仕事量が10分間に60枚、比較する労働者が10分間に120枚であれば仕事量が50%ということになり許可相当と判断される。

  障害者によっては知らない人(担当官)がいたり、ヨーイスタート!と仕事を開始させると、いつもより仕事が早く又は遅くなることもある。この辺りは担当官の力量が問われるところ。

 調査するその日1日だけ、更に言えば数分~数十分だけ比較して許可に値するか判断することになる。この辺りは否定的な意見もあるだろうが、人員的に一つの申請に何日も時間をかけることはできないのでしょうがない。私がこの制度を嫌う理由であるが。

 

 仕事量の比較と、その他モロモロな事情により許可相当と判断した場合には署長に対して復命し、OKが出たら労働局に進達をする。そして労働局でも許可と判断されれば労働局から許可書が署に送付され、それを事業場に渡し処理完了となる。

 許可は永久ではなく期限がある。最初の許可は1年、その後更新の場合は3年となるパターンが多い。

 

 許可を得ればどれだけ低い賃金でも有効である。減額率90%、時給150円とかで申請してくる事業場もある。

 

 一所懸命働く障害者を目の前にして、担当官が何を思うのか・・・

 

 

 いろいろ追加することもあるため続く・・・かもしれない。