ろーきしょ!

労働基準監督官について酒を飲みながらアレコレ書くブログ

監督官証票

監督官はその身分を証明するための証票を持っている。警察官の警察手帳と同じようなものと思ってもらって良い。

証票の表には金色で「労働基準監督官」と刻印があり、中は監督官の顔写真、名前、所管する法令と権限等々が記載されている。

 

この証票、基本的にはあまり表に出さない。

 

労働基準法第101条は監督官の権限について書かれた条文だが、第2項には「労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。」とある。事業場への臨検監督の際には証票を持っていけ、ということ。

そして同じように監督官の権限について書かれている労働安全衛生法第91条の第3項には「労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。」とある。

 

この違いは条文のとおりで、労働基準法は証票を携帯するだけで、労働安全衛生法は携帯かつ関係者への提示であるが、通常監督する際は両法について法違反がないか確認する。ということは相手に求められずとも当然証票を相手方に提示しなければならないが、

 

実際に提示する監督官は少ない。というかほとんどいないのではないか。

 

大抵は名刺だけ提示しておしまいという感じである。監督官証票を出すのは物々しい、というか大げさなふるまいで、滅多にやるもんじゃないと思っている監督官は多い。

相手方から身分証明書を見せろ!というような状況にない限りは証票を出さないという空気が現場にはある。そしてそんな状況はほとんどない。

監督官証票は名刺入れも兼ねているが、あえて別の名刺入れを用意する職員も多い。

 

この証票、採用1年目の朝霞の労働大学校で行われる中央研修が修了したとき、大体10月くらいに交付される。ということは4月に採用されて中央研修が修了する前の約6か月の間は新人監督官は証票を持っていないのだ。新人は先輩や上司についていって監督指導の現場に同行することがあるが、身分証明書を持っていないということになる。

法的には新人もベテランも同じ監督官である。監督の際には証票を提示しなければならないという法律と矛盾しているような気がする。新人は監督ではなく、研修のため同行してるだけ、ということか?よく分からない。

 

それは置いといて、監督官証票は絶対に紛失してはならない。

 

紛失してしまったら官報に名前が載り、更に全国の監督署に「この監督官証票を失くしたぞー!」と連絡が来るのだ。なぜなら、証票を悪用されないため。顔写真をうまく貼りかえれば、監督官として振舞うことができる可能性があるから。

 

とにかく新人の監督官に対しては紛失するなよ、と口酸っぱく指導する。ハンター×ハンターのハンターライセンスのように。