ろーきしょ!

労働基準監督官について酒を飲みながらアレコレ書くブログ

違反率

違反率という統計?がある。

これは監督指導を行った件数と、その中で法違反が認められ監督官が是正指導を行った件数を除したものである。

 

100件の事業場を監督し、50件で違反が認められれば、違反率が50%となる。

 

基本的に監督署ではこの違反率はあまり重視していない。違反が認められなくても、そのこと自体で上司からアレコレ言われることはない。この辺りは税務署と大きく違うところだと思う(税務署は税務調査のときに何も指摘事項がないと相当上司から責められると聞いている。)

 

最近、この違反率が極端に低くなる傾向にある。

 

それはなぜか?昨年から始まった「労働時間相談・支援班による訪問支援」の影響だ。

労働時間相談・支援班は、監督官が管内の事業場に対し、法令の周知を行うために一軒一軒訪問して助言を行う(アリガタメイワクにも程がある・・・)。

労務管理について困ってることはありませんか?労働基準関係法令で知りたいことはありませんか?等々聞いて質問に対し回答していく。

 

これは通常監督官が行う「監督指導」とは違い、あくまで「支援と助言」であるため、仮に話のなかで法違反と思われる事項があっても、文書による指導は行わず、口頭の助言に留める。

これは厚労省も公式に認めていることであり、「監督指導とは違う」と強調している。

 

さて、この訪問後に上司と署長に対して復命するわけだが、これは通常の監督指導と同じ手順で行う。

つまり、「違反なし」として復命することになる(訪問支援では違反を指摘しないため)。

 

通常の監督指導とは明確に違うものであるが、その復命は監督指導と同じ「枠」の中に組み込まれ、違反なしとして集計されるため、結果的に違反率を集計した際に、この訪問支援のおかげで違反率が低くなってしまうことになる。

 

この辺り改善する必要あると思うけどなぁ‥