本省に行く職員を除き、採用7年目までは大概似たようなキャリアパスを通る監督官であるが、8年目の3局目からは職員により様々である。
職員が不足している局(不人気局)では、監督官は採用8年目でいきなり課長級になる。とはいえ大抵は直属の部下がおらず業務内容も実質的に平の職員と大して変わらない、残業代も出る「なんちゃって課長級ポスト」に就くが、不人気局ではそこからたかだか2、3年で本当の意味での管理職に就くことになる。
方面制ではない監督署の場合、監督課長が監督部門の責任者となる。人気局の場合は、監督課長になるのは20年目というのも珍しくはないが、不人気局の場合職員が少ないので11年目前後でそのポストに就いてしまう。
監督課長は署長に次ぐ実質的な署のナンバー2であり、同じ課長級である安全衛生課長や労災課長とは全く違うポジションだ。
監督部門の責任者という一方で、民間企業でいう「総務」の仕事の責任者でもある。そのため、また、署内全体の管理等も監督課長の仕事だ。更に署長の名代として、各種の行事に参加したり、来署した客の相手をする。
つまり、副署長的なポジションということだ(課制署には副署長はいない)。
そのようなポジションに局によっては30歳そこそこの監督官が就くのだ。ちなみに安全衛生課長となる技官や労災課長となる事務官は40歳~50歳前後なので、いかに早いかわかるだろう。
30歳の監督課長、40歳の安全衛生課長、50歳の労災課長という署も珍しくはない。
人事によっては、同じ署において役職がない平の監督官からいきなり監督課長になることもある。去年までは下っ端が座る席にいた監督官が、いきなり署内のナンバー2になる。他部署の係長や課長をゴボウ抜きするのは決して気持ちの良いものではない。
監督課長ももちろん監督官だが、事業場への法違反の指導など、監督官としての仕事は業務量の6~7割程できれば良い方であり、多くは事務仕事に忙殺される。まぁ、庶務業務は定時後に行い、普段は監督業務を中心に据える人もいるが。
監督課長は管理職であるので管理職手当が出る。しかし残業代は一切出ない。
公務員の給料というのは完全に年功序列であるので、若くして監督課長になる場合は実質的な副署長的ポジションであるにもかかわらず、40代~50代の安全衛生課長や労災課長よりグンッと低い給料となる。
国家公務員の管理職手当は、民間でいう管理監督者に対する役職手当のようなものだ。
しかし、監督課長は出退勤の裁量や部下に対する人事権なども全くないため労働基準法第41条の管理監督者には全くあてはまらないが、国家公務員は労働基準法が適用されないため、全く問題とならない笑
続く