ろーきしょ!

労働基準監督官について酒を飲みながらアレコレ書くブログ

監督官は一人親方

 監督官は基本的に一人で仕事をする。事業場への法違反の調査、指導はもちろん、特別司法警察職員として所管する法令違反を刑事事件として捜査をする場合(内部的には司法処分という)も一人で行う。さすがに実況見分やガサ(令状をとって強制捜査を行うこと。家宅捜索ともいう)はそれなりに人員を集めて行うが、被疑者や参考人の聴取や捜査報告書の作成といった机上の仕事はよほどの大規模事件でない限り一人で行う。

 もちろん絶対ではなく大企業の調査他、人手が必要な場合は複数名で行うこともある。

 

 監督官1年目は研修期間のため(私のときは確か1年と半年は研修期間)上司や先輩と一緒に仕事をするが、2年目からは一人仕事が基本となる。

 

 

 監督官は一人親方と称される(本来の意味の一人親方とは全く違うが)。月初に今月はこのくらいの仕事をこなせと指示あり、それを一人で黙々と進めていくのだ。事業場の担当者と話をすることはもちろんたくさんあるが、署内では驚くほど会話は少なく淡々と仕事をこなしていく。

 

 署内では丸一日誰とも話をしないことも珍しくない、上司との会話も少なく、ましてや同僚の監督官と業務上話をすることはほとんどない。だから自分以外の監督官が現在一体何の仕事をしているのか把握することもない。上司も部下の仕事を逐一把握するわけではなく基本ほったらかしである。

 是正報告等により監督署へ問い合わせをしたときに「担当の監督官と話をしてほしい」と言われるのはそれが理由だ。

 

 小さい監督署だと署内に監督官が誰もいないことを避ける(署長除く)ため、監督課長が「仕事の予定表(スケジュール)を逐一報告せよ」ということもあるが、ある程度の規模の監督署だと、「まぁ誰かが一人は署内にいるだろう」ということで誰も各監督官のスケジュールを把握しないことも珍しくない。大きい署であれば電話・相談窓口要員の非常勤職員の方も多くいるから、それなりに何とかなることも理由の一つである。

  ただ本当に相談が多い署だと電話・窓口要員として監督官を1名~3名外に出さず輪番で常駐させる所もある(特に最近は「監督官を出せ」という相談者も増えているため)。

 

 日本のあらゆる行政組織の中で労働基準監督署が一番職員の管理が緩い組織だと個人的には思う。

 今日何をするか、明日何をするか、午前、午後は何をするか、そういったスケジューリングをほぼ全部自分で決めることができる。与えられた仕事を一定期間の中でこなせればそれで良い、という考えだから。

 

 しかし、監督官には受動的業務もあるため、必ずしもスケジュール通りにはいかないこともある。突然優先度が高い仕事が舞い込んでくることもあり、そのときはスケジュールを調整することとなる。

 

 特に受動的業務が多い都心部の監督署は地方とは違って思い通りに仕事を進められないことも多い。

 

 というわけで、続く・・・