ろーきしょ!

労働基準監督官について酒を飲みながらアレコレ書くブログ

監督署の人々 厚生労働事務官

 誤解してる人もいるが、監督署にいるのは監督官だけではない。むしろ非常勤職員も含めれば、監督官ではない職員の方が多い.

 厚生労働事務官(事務官)も監督官ではない職員のうちの一人だ。

 事務官は国家公務員一般職(かつての2種)に合格し、都道府県労働局に採用されたノンキャリアの職員を指す。

 かつては基準系と安定系に分かれており、基準系は監督署を中心に、安定系はハローワークを中心に配属されていたが・・・ここ約10年間は共通採用事務官という制度となり、その垣根はなくなった。この辺りは「新人事制度」というものが関係してくるのだが、別記事に譲りたい。

 

 さて、署での事務官の仕事は多く分けて2つ。労災と庶務業務。

 監督署には「労災課」という部署がある。労災の適用(労災保険法に基づいて労災保険料を支払う手続き)、労災の給付申請に対する審査等を行うトコなのだが、ここは監督官ではなく事務官が主に配属される部署であった。

 

 よく労災認定がどうのこうのというニュースの中で、「労災か否かは監督官が調査をする」と書かれていることがあるが、それは間違いで、労災認定の調査は監督官ではなく事務官の仕事!ただし、やはり「新人事制度」というものが絡んできて若干変わってきているが。更に言えば、決裁を行う署長は監督官だから必ずしも間違っていないが、労災給付関係の業務は事務官が中心に行う。

 

 また、規模が大きい監督署(方面制署と呼ぶ)にある業務課(民間でいう総務、会計課のようなもの)、課制署の監督課庶務係(業務課に同じ)にも配属される。

 かつては監督官の補助的なポジションである「監督事務官」というのも存在したが、現在ほぼ絶滅状態で見かけることはまずない。

  

 事務官は監督官よりも下のポジションであると誤解している人もいるが、それは全くの間違い。

 変な話だが、監督官はすぐに課長級になるのに対し、事務官は平の期間が長く、課長の前に係長の期間もあるため、平の監督官から見れば大抵の事務官は目上となる。特に現在はとある事情(新人事制度)によりその傾向が顕著だ。

 ただし、監督官は平から一気に課長級になるため、突然立場が逆転するわけだが。

 

 さて、実は現在労災課には若手の事務官がいない。何度もしつこいが「新人事制度」により、約10年間監督署に配属される事務官の採用(労災事務官)が無くなったのが原因だ。ちなみに平成31年4月採用の職員から労災事務官の採用が再会された。

 

 事務官は監督署の中では極々一部の監督署にだけ置かれる「労災担当副署長」まで昇進できる。また、労働局の課長級まで昇進する人も極一部だけだが存在する。

 

 監督署の課長に昇進するのは50代前後であり、監督署の課長の中で一番年齢が高いのが常となる。

 

 労災課は監督、安全衛生課とは全く違う部署のため、労災課所属以外の監督官は、事務官と話すことはほとんどない。それこそ同じ署なのに一度も話したことがない職員もいるのは普通だ。

 

 てか事務官てどう説明したらいいのやら・・・これも全て新人事制度のせいかなぁ。