ろーきしょ!

労働基準監督官について酒を飲みながらアレコレ書くブログ

賃金課長逮捕(だいぶ前w)

だいぶ前の話だが、厚労省労働基準局賃金課の課長が韓国で逮捕された。

 

賃金課長は労働行政における大ボスの一人といって良い。

 

本省の課長は一ノンキャリ公務員である地方の監督官から見ると上司の上司の上司の上司の上司、といった神様みたいな立場であるが、色んな人がいるんだなぁ・・・という事件である。

 

本省課長で47歳ということは、国家一種(今の総合職)で労働省採用の人だと思う。

 

本省賃金課の直下組織である労働局賃金室(局によっては賃金課)は、監督署はあまり接することはないが、最低賃金減額特例許可申請における決裁ルートであるため、それなりに気をつかわねばならないトコロでもある。

賃金室(賃金課)の課長や賃金指導官(何やってる人なのか不明。賃金室のナンバー2?)が監督官であれば、現場の事情をそれとなく察してハンコを押してくれるが、事務官だと意味がわからない指摘を受けて、現場がてんやわんやすることもある。

 

 

 

監督官の服装

監督官には警察のような制服はない。しかし、作業服が支給される。この作業服は夏用と冬用の2種類に分かれ、更に労働局独自の作業服というのも存在する。

 

この作業服は、建設工事や工場といった、安全衛生を主眼とした監督指導を行う現場に行くときに着ていくものであると教えられている。

 

教えられている、というのは微妙な表現であるが、私が知る限りは、「こういう場合は作業服を着ろ」という明確な指示、命令はない。

なんとなくであるが、建設現場や工場に行くときは作業服、それ以外は作業服かスーツどっちでも良い、というような感じである。

 

庁内で事務仕事や窓口業務を行う際の服装は全く決まりがない。個々の監督官の自由である。

一年中作業服を着ている監督官もいれば、普段はスーツで建設現場に行くときだけ作業服に着替える監督官もいる。この辺りは非常にルーズで、個々の監督官の裁量に委ねられている。

 

夏用、冬用の作業服も厳格な衣替えはなく、一年中夏用の作業服を着る監督官もいれば、その逆もいる。

 

また、5月から9月の期間は政府の指示でクールビズとしてネクタイの着用が免除されるが、クールビズ期間以外でも建設現場等に行く際はネクタイの着用をしなくても何も内部的に指摘は受けない。

 

服装に関しては、公務員の中一番ルーズなのが労働基準監督官だと思う。良いのか悪いのかはともかく、とにかく自由な職場である。

監督署都市伝説

監督官は過重労働かつサービス残業が当たり前

 

という噂がなぜか広まっている。

 

まず、基本的に役職がない監督官はほとんど超過勤務(以下「残業」)をしない。私は四国、東北、関東、北陸で勤務経験があるが、残業申請を月10時間以上行ったのは関東の某署にいたときだけ。このときも残業をせざるを得ない特別な事情があったからで、通常は多くても月に5時間前後。1時間も残業申請をしないという月の方が圧倒的に多かった。これは私に限らず多くの監督官に共通していることだと思う。

 

そもそも残業に対する予算があまりにも少ないので、残業そのものが厳しく制限されている。監督官一人当たり月5時間も残業すればあっという間に予算が足りなくなるくらい乏しい。

また、残業時間数が少ないというのが署長に対する人事考課の重要な査定項目でもある(らしい)ため、日ごろから残業は控えめにと指導される。

とはいえ、サービス残業が強要されるというわけでもない。申請を渋る署長や課長が全くいないわけではないが、残業したら申請せよ、申請しないのであればとっとと帰れという上司の方が多い。

 

そんなわけで、少なくとも労働時間に関して言えば、署勤務の平監督官が過重労働というのは嘘っぱちである。

 

 

ただし、これには多少裏があるのも事実である・・・続く。

 

 

ちなみに課長になると定額働かせ放題な状況となり、労働時間は飛躍的に増加する。 

作りたいなぁ

最近、踊る大捜査線を見返してるんですけど、、、

 

この、キャリアとノンキャリアの溝というか超えられない壁っていう題材に非常に惹かれてる。

 

労働基準行政も他の省庁の例に漏れず、ノンキャリアの監督官、ノンキャリアの局職員、キャリアの局職員、ノンキャリアの本省職員、キャリアの本省職員、といった感じで、ドラマを作りやすい環境にあるんじゃないかと思う。

 

監督官採用試験で経験を積んで本省に行った職員と現場を知らないキャリアとか、結構ネタになるんじゃないかなと。

 

いやー、これはおもしろくなりそう。誰か作ってくれ。俺は知らん。

 

 

監督官証票

監督官はその身分を証明するための証票を持っている。警察官の警察手帳と同じようなものと思ってもらって良い。

証票の表には金色で「労働基準監督官」と刻印があり、中は監督官の顔写真、名前、所管する法令と権限等々が記載されている。

 

この証票、基本的にはあまり表に出さない。

 

労働基準法第101条は監督官の権限について書かれた条文だが、第2項には「労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。」とある。事業場への臨検監督の際には証票を持っていけ、ということ。

そして同じように監督官の権限について書かれている労働安全衛生法第91条の第3項には「労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。」とある。

 

この違いは条文のとおりで、労働基準法は証票を携帯するだけで、労働安全衛生法は携帯かつ関係者への提示であるが、通常監督する際は両法について法違反がないか確認する。ということは相手に求められずとも当然証票を相手方に提示しなければならないが、

 

実際に提示する監督官は少ない。というかほとんどいないのではないか。

 

大抵は名刺だけ提示しておしまいという感じである。監督官証票を出すのは物々しい、というか大げさなふるまいで、滅多にやるもんじゃないと思っている監督官は多い。

相手方から身分証明書を見せろ!というような状況にない限りは証票を出さないという空気が現場にはある。そしてそんな状況はほとんどない。

監督官証票は名刺入れも兼ねているが、あえて別の名刺入れを用意する職員も多い。

 

この証票、採用1年目の朝霞の労働大学校で行われる中央研修が修了したとき、大体10月くらいに交付される。ということは4月に採用されて中央研修が修了する前の約6か月の間は新人監督官は証票を持っていないのだ。新人は先輩や上司についていって監督指導の現場に同行することがあるが、身分証明書を持っていないということになる。

法的には新人もベテランも同じ監督官である。監督の際には証票を提示しなければならないという法律と矛盾しているような気がする。新人は監督ではなく、研修のため同行してるだけ、ということか?よく分からない。

 

それは置いといて、監督官証票は絶対に紛失してはならない。

 

紛失してしまったら官報に名前が載り、更に全国の監督署に「この監督官証票を失くしたぞー!」と連絡が来るのだ。なぜなら、証票を悪用されないため。顔写真をうまく貼りかえれば、監督官として振舞うことができる可能性があるから。

 

とにかく新人の監督官に対しては紛失するなよ、と口酸っぱく指導する。ハンター×ハンターのハンターライセンスのように。