労災課は主に厚生労働事務官が配属されるということは以前の記事に書いたが、監督官も配属される。
労災課に配属されると仕事は労災保険関係に限定されるため、監督官としての仕事、つまり企業等への法違反の指導や労働相談などは行わない。
署によっては労災課配属の監督官にも窓口で労働基準法関係の届出や労働相談の対応をさせるところもあるが、明らかに事務分掌違反だ。
しかし、ここ1、2年、労働条件調査のため監督署に呼び出されて監督官と名刺交換をしたら、「労災課」と書かれている名刺をもらい頭にハテナマークがついた企業担当者もいると思う。
なんと、労災課配属の監督官もちょっとは監督業務を行え、という決まりができた。
そりゃまぁ、監督官なんだからそれは当然じゃないか?と思った人もいるかもしれないが、どう考えてもおかしい。なぜなら、監督部署ではなく、労災課に配属されているのだ。
これは、営業部の人間に経理の仕事をしろ、と命じているのと同じだ。
監督官なんだから監督業務をやれ、というのであれば、全くの畑違いである労災課に監督官を配属させるのがそもそもの間違いなのだ。
労災課は監督署の中で一番業務量が多く毎日遅くまで残業している。労災課から監督部署に「戻ってきた」監督官が残業が少ないことにまず驚くのは珍しくない。
そんな忙しい部署に配属されている監督官に対して、「監督官なんだから監督業務もやれよ」なんて、なんと狂った指示か。
まぁそんな労災課、10数年前はほぼ事務官で固められ、監督官は「人事交流」的な感じで、そのキャリアの中で1年ないし2年労災課に配属されていた。あくまで「お客さん」的な感じでの 労災課勤務だった。また、労災課に配属されるのは10年近く経験がある監督官が多かった。
しかし、労働行政最大の悪夢である「新人事制度」により、2局目、4年目の若手監督官の多くが労災課に配属されることとなった。3年目の監督官が配置されていた時期もあった。
紆余曲折あり、監督官の4年目労災課配属は原則無くなったのだが・・・(この辺り新人事制度記事で詳しく書きたい)
労災課に縁のない監督官も多く、多くの労働基準監督官にとって労災課というのは、
「同じ組織に所属し、同じ部屋で働いているが、何の仕事をしているのかよくわからない人たち」
という印象があるのではないか。仕事上普段しゃべることもほとんどなく交流もない。
ちょっと不思議な労災課なのであった。